最悪な結婚のはずが、冷酷な旦那さまの愛妻欲が限界突破したようです
 とはいえ、昨日の寝るときもそうだったし、なんなら私もパジャマ姿をさらしてしまった。ここは彼の家で一緒に暮らしているのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが、きっちりとしたスーツ姿しか見ていなかったので、なんだか変な感じだ。

 こうして彼の分のご飯も準備して一緒に食べようとしている。気恥ずかしくて、胸が詰まりそうだ。

 自然と向き合う形で、朝食をとる。

「今日、ご実家に挨拶にお伺いするの、延期しますか?」

「いや、予定通りでかまわない」

 私から話題を振るが端的な回答があるだけで、会話らしい会話は続かない。

 箸を動かし、なかなか冷めない雑炊を少しずつ口に運ぶ。

 貴治さんのお口には合っているのかな?

 ちらりと彼をうかがうと、視線がはっきりと交わり、つい手を止めた。

「臨」

 口を開いたのは彼が先だった。

「昨日は、正直助かった」

「あ、いえ……回復されてよかったです」

 ぎこちなく返して、目線を下げる。昨日は勢い余って、病人相手にずいぶん乱暴な言い方や強引な真似をしてしまったと反省していたが、結果的に彼の役に立ったのならよかった。

「それにしても、体調が優れなかっただけで、まさか救急車を呼ばれそうになるほど驚かせるとは思わなかったな」

 責めるというより、どこかおかしそうな口調だった。

 けれど私は笑えなかった。
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