村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される
「舞は舞で苦しんでたのに、私はそれに気が付かなかったよね。きっと、助けてって言っていたのに」

葵は舞がお店に来てくれたときのことを思い出していた。
舞は葵を羨ましがっていたはずだ。

それを葵は聞き流してしまい、舞のほうが恵まれていると思ってしまった。
でも違うんだ。

環境が違って相手のほうがいい人生を歩んでいると思っても、見えない部分で一生懸命泳いでいる。

じたばたと溺れかけているときだってある。
表面では、それが見えていないだけ。

「大丈夫だよ舞。舞は悪くない。私達きっとまたやり直せるから」

舞は何度も何度も頷いて、何度も何度も「ごめんなさい」と繰り返したのだった。

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