幽霊学級
通路を歩いていく途中で「よろしくな」と声をかけられて顔を向けると、そこにはよく日焼けした男子生徒がニカッと白い歯をのぞかせて笑っている。
僕はニッコリと微笑み返して頷く。
これが、大ヶ原中学校初日の、一番最初の出来事だった。

☆☆☆

「俺木下和彰、よろしくな!」
休憩時間になにをしようかと暇を持て余していたとき、さっき僕に話かけてきてくれた男子生徒が近づいてきた。
「僕は郁哉」
「知ってる。友達を紹介するよ」
和彰はそう言うとあとふたりのクラスメートを呼んでくれた。
「ボクは盛岡誠です。よろしく、郁哉くん」
誠は少し照れて頬を赤くしながら笑顔を見せた。
背も小さくて女の子みたいに可愛らしく、色白でおとなしそうな雰囲気の生徒だ。
「オレは橋本功介」
功介はそう言うと大きな手を差し出してきた。
反射的にそれを握り返すと、大きく上下にブンブンと振り回されてしまった。
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