幽霊学級
「う、うん! 日本の作家なら東野圭吾とか大好きなんだ」
「へぇ、大人っぽい本を読むんだね」
そう言うと誠は嬉しそうに微笑んだ。
「おい、お前」
他にも色々教えてもらおうとしたとき後方からそんな声が聞こえてきて僕は振り向いた。
「えっと、誰だっけ?」
声をかけてきた男子生徒の顔がわからなくて僕は首をかしげる。
他の3人はなぜだか黙り込んでしまった。
「同じクラスの水田淳だ」
淳はなぜか不機嫌そうな顔で僕を睨みつけている。
なにか怒らせるようなことをしただろうかと考えるけれど、思い当たることはなにもない。
「水田くん。僕になにか用事?」
「お前さぁ、ちょっと気持ち悪いんだよ」
「え?」
突然の言葉にペをパチクリさせる。
そんなことを言われたのは初めての経験で、全身の血の気が引いていくのを感じた。
「やめろよ、そういうの」
淳はそれだけ言うと僕に背中を向けて行ってしまったのだった。
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