幽霊学級
「違う! 私達花子さんを呼び出したりなんてしてないよ! だけど、トイレを済ませて個室から出たとき、そこにいたの」
それを聞いた淳がくるりとこちらを振り向いた。
視線がぶつかったが、慌ててそらせる。
淳は僕に対してキツク当たってくるから、やっぱりあまり関わり合いを持ちたくなかった。
「あんなの気にするな」
後からそう声をかけてきたのは和彰だった。
和彰は呆れ顔でユリちゃんたちを見ている。
「もともとあの子たちは嘘つきなんだよ。幽霊を見たとか、芸能人を家に泊めたとか、そんなのばっかりさ」
「そうなんだ? でもユリちゃんが嘘つきには見えないけど」
あまり会話はしたことがないけれど、ユリちゃんは聡明で、誠が好きになった子だ。
そんなに悪い子じゃないと思う。
嘘をつくにしても、ユリちゃんならもっとバレないような嘘がつけるはずだ。
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