白雪姫は、もう目を覚さない
第2章 閉ざされた城の姫
第4話 ガラスのベット
今日もいつもと同じように、病室で目が覚める。
スケッチブックを膝に広げて、
静かに絵の具で色をつけていく。
そして、少しだけ窓から見えた青空を描く。
色を忘れないように……
私は心臓の病気で、もう長いことここにいる。
少し歩くだけで息が苦しくなる体は、時間が経つほど不自由になっていく。
でも絵を描いているときだけは、少しだけ自由になれる気がする。
両親はよく病室に来てくれるけど、病気の話をあまりしない。
明るく笑って「きっと良くなる」「退院したら何がしたい?」って未来のことばかり話す。
本当は、二人とも私の病気のことをちゃんと見たくないんだと思う。
だから私は、何も言わずに笑う。
心配させたくないし、泣かれるのもつらいから。