白雪姫は、もう目を覚さない

エレベーターで上階へ上がりながら、
兄貴のことを思い出す。

黒瀬 柊真。

俺とは違う優秀な兄。

小さい頃、兄貴は俺にノートの使い方を教えてくれた。
けど、あれが最後だった気がする。

最近は顔を合わせてもほとんど話さない。
あいつは“俺と違って”家族に愛される人間だ。
俺のことなんか、同情してるか、諦めてるか。
まあ、その程度にしか考えていないんだろう。

俺がどんな目で見られてるかくらい、分かってる。
だから、俺は期待しない。されるのも、するのも、もうやめた。
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