だって、お姉様お望みの悪女ですもの


「イザベル、おまえは残酷だわ」
 アデルはおどろおどろしい声で呟いた。
「どうしてそう思うの?」
「だって白花の発作を無効化する霊薬が作れるなら、シミを消す霊薬も作れるでしょ? 今すぐ作りなさいよ」
「これは病弱だと偽っていたお姉様が悪いんでしょう? 今までのツケが回って来たのよ。それと、無効化の霊薬は回復薬の応用だから作れたけど、シミを消すとなると完成まで何年掛かるか分からない」
 イザベルの返答に、アデルは叫んだ。

「だからそれをなんとかして!」
「私はもうお姉様の面倒はみない。霊薬は作らないわ」
 アデルは髪を振り乱し、酷く顔を歪める。
「作らない? 馬鹿なこと言わないで。おまえが分を弁えないから私がこんな辛い目に遭っているのに!!」
「私は弁えているわ。お姉様がいつでも悲劇のヒロインになれるよう今この瞬間にも」
 イザベルはアデルに近づくと腰を折り、耳元で囁いた。


「だって、お姉様お望みの悪女ですもの」


 そう告げたイザベルはにっこりと笑った。
 言葉の意味をやっと理解したアデルは絶望する。
「嫌。こんな形は望んでない。全然違うわ……」
 アデルは泣き喚くがイザベルが構う必要はない。
 すべては彼女の身から出た錆なのだから。

「行きましょうルーシャン様」
 くるりと背を向けたイザベルはルーシャンと共に、月夜に照らされた廊下を歩いて行った。

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