だって、お姉様お望みの悪女ですもの


「イザベル、おまえは残酷だわ」
 アデルはおどろおどろしい声で呟いた。
「どうしてそう思うの?」
「だって白花の発作を無効化する霊薬が作れるなら、シミを消す霊薬も作れるでしょ? 今すぐ作りなさいよ」
「これは病弱だと偽っていたお姉様が悪いんでしょう? 今までのツケが回って来たのよ。それと、無効化の霊薬は回復薬の応用だから作れたけど、シミを消すとなると完成まで何年掛かるか分からない」
 イザベルの返答に、アデルは叫んだ。

「だからそれをなんとかして!」
「私はもうお姉様の面倒はみない。霊薬は作らないわ」
 アデルは髪を振り乱し、酷く顔を歪める。
「作らない? 馬鹿なこと言わないで。おまえが分を弁えないから私がこんな辛い目に遭っているのに!!」
「私は弁えているわ。お姉様がいつでも悲劇のヒロインになれるよう今この瞬間にも」
 イザベルはアデルに近づくと腰を折り、耳元で囁いた。


「だって、お姉様お望みの悪女ですもの」


 そう告げたイザベルはにっこりと笑った。
 言葉の意味をやっと理解したアデルは絶望する。
「嫌。こんな形は望んでない。全然違うわ……」
 アデルは泣き喚くがイザベルが構う必要はない。
 すべては彼女の身から出た錆なのだから。

「行きましょうルーシャン様」
 くるりと背を向けたイザベルはルーシャンと共に、月夜に照らされた廊下を歩いて行った。

< 37 / 37 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:82

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
魔女で薬師のミゼリアは、 力を貸して欲しいと 離宮管理人に頼まれて 王宮へ連れて行かれる。 ミゼはそこで幼少期に 出会った初恋の青年・ リシュアスと再会した。 気持ちが舞い上がる一方で、 ちっとも老けていない リシュアスに違和感を 覚えるミゼ。 なんと彼は三百年前に 魔王を倒した英雄で 不老不死の呪いにかかっていた。 ミゼの待つ魔女の力 『解呪』を使って 助けて欲しいと 懇願されるが、 記憶喪失中なため 力が使えない状態で……。 暫く王宮で働くことになり、 記憶を取り戻すために奮闘する。 そして、ついにすべての 記憶を思い出すのだが——。 ミゼは自分の持つ力が 解呪ではないと知る。
表紙を見る 表紙を閉じる
不幸を振り撒く忌み子として 家族から虐げられていたフィリーネは、 姉の怒りを買ってマツの木と 結婚させられてしまう。 強風で幹が折れ、湖へと 落ちてしまったフィリーネだっだが、 次に目を覚ますと絶世の美貌を誇る 竜人・シドリウスと出会う。 なんと今度は彼の生け贄になっていた。 美味しく食べてもらおうと 決意したフィリーネだったが、 何故かシドリウスからは 大人になってからだと 止められてしまい――。 これは純粋であるが故に 食べる意味を勘違いしている フィリーネと、 日々煽られて悶える シドリウスのラブコメディ。
表紙を見る 表紙を閉じる
王女ジゼルは生まれながらに呪われている。 相手や自分が好意とともに『好き』を伝えると、顔だけが醜いオークの顔になってしまうのだ。 そんな彼女には想いを寄せる護衛騎士がいて――。 好きが言いたいのに言えない姫の恋物語。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop