ありふれた日常こそ、尊い。
ゲームの話で盛り上がっていると、あっと言う間に凪の実家に到着した。
「ここだよ。」
そう言って、凪が指差したのは古い二階建てのアパートだった。
わたしたちは車から降りると、アパートを見上げ、それから顔を見合わせた。
「わたし、変じゃない?大丈夫?」
わたしは凪にそう聞きながら、服装をチェックしてもらった。
「うん、変じゃないよ。可愛い。」
「え、可愛い?あー、やだやだ。モテ男は、簡単にそんなこと言えちゃうんだもんね。」
「何だよ、思ったこと言っただけだろ。」
「って、こんな言い合いしてる場合じゃなかった。お母さんに、仲良いところ見てもらわなきゃだもんね!」
「そんな考え過ぎなくていいよ。いつもの美月でいてくれればいいから。」
えっ?いつものわたし?
「うち二階。」
そう言って、凪はアパートの階段を上り始めた。
わたしも凪に続き階段を上る。
そして、"203号室"と書いてある扉の前で止まる凪は「ここ。」と言う。
わぁ、いよいよだ、、、
大丈夫かなぁ。
わたし、凪の"彼女"らしくいられるかなぁ。
「じゃあ、入るぞ?」
凪はそう言うと、インターホンを押してから203号室のドアを開けた。