ありふれた日常こそ、尊い。
しかし、このままではダメだ!と思い、高校を卒業し、社会人になったことをきっかけにイメチェンをしてみると、自分でも驚く程、周りからの視線が集まるようになり、今に至るのだ。
でも、イメチェンはしたものの、中身が変わるわけもなく、中身はオタクのまま。
こんなこと、誰にも知られたくない、、、
知られたら絶対ドン引かれる、、、
それが怖くて、わたしは恋愛が出来ず、二次元の世界から抜け出せずにいるのだ。
はぁ、、、早く帰って"ffVIIリバ◯ス"やりたい!
「あ、居た居た。美月!」
そう声を掛けて来たのは、企画課で同期の天海凪だった。
実は凪だけは、唯一わたしの本性を知っている人物なのだ。
そのきっかけは二ヵ月前、28日にわたしの好きなゲームが発売される為、"私用"と称した"ゲーム休暇"で有給休暇を申請した時に、同じタイミングで凪が同じ28日に有給休暇を申請していて、「凪が有休取るなんて珍しいね。」と訊くと、「実は28日、俺が好きなゲームの発売日なんだよ!」と言った事だった。
だから凪とは話が合い、密かに同じゲームをプレイしている仲で、唯一本当の自分を見せられる存在なのだった。
「凪。何かあった?」
「いや、実はさぁ、、、美月にお願いがあって、、、」
「お願い?」
「うん、、、聞いてくれる?」
「まぁ、とりあえず聞くだけ聞く。」
わたしがそう言うと、凪は両手をパンッと合わせ、頭を下げながら「頼む!一日だけ、俺の彼女のフリをしてくれ!」と言ったのだ。