Far away    ~遥かなる想い~
それが終わると、終了した式の反省会。その内容を記録に残し、更に夕方の打ち合わせ記録も当然残す。今度はパソコンとのにらめっこタイム。ウェディングプランナ-の週末は、大袈裟ではなく戦争なのだ。そうこうしているうちに、ふと時計を見れば、定時の時刻など、とうに過ぎ、気が付けば20時、21時になっているなんていうのは、珍しい話でもなんでもない。


やれやれと思いながら、慌ただしく過ぎて行った1日に改めて思いを馳せた彩が、フッと1つ息をついてから、ノートパソコンをパタンと閉じると


「お疲れ様。」


そう声を掛けながら、彩の前にコーヒ-を置いたのは先輩プランナ-の藤原優姫(ふじわらゆうひ)


「優姫さん、すみません。いただきます。」


恐縮したように頭を下げてから、彩はコーヒ-を口に運んだ。


「今日もなんとか、無事に終わったわね。」


「はい。」


頷いた彩が、ふと窓の外に目をやると、当たり前だが、とうの昔に日が落ちて、夜の帳が降りている。今日という1日が静かに終わりを告げようとしていることを改めて実感する。


「優姫さんの方は、今日はいかがでしたか?」


「うん。午前中のお客様からは仮予約が取れたよ。でも午後の2組はちょっと微妙かな?」


この日は担当の挙式がなく、式場見学客の接客に専念していた優姫の答えに


「そうですか、お疲れさまでした。」


彩は笑顔で彼女を労う。


「取り敢えず、1週間が終わったね。また明日から頑張ろう。」


「はい。でもすみません、私は明日はお休みなんで。」


「あ、そっか。まぁ、ゆっくり休んでよ。」


「ありがとうございます。」


「さ、帰ろう。」


「はい。」


優姫の言葉に頷いて、彩は立ち上がった。


更衣室で帰り支度を整え、職場をあとにして、最寄り駅に向かって歩き出した彩。


(お夕飯、どうしようかな?)


今の彩にとっては、それが何よりの懸案事項。この日は日曜、夜も更けて来ている時間で、彩のホテルのレストランはもちろん既に閉まっているし、周辺の飲食店も他曜日に比べると早じまいだ。日曜日の夕飯をどうするかは、毎週の頭痛の種であった。
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