君のいない世界
君のいない世界

1章:何でなんだよ…

「またかよ…」
今日も侑士は女の所へ行った。
俺と付き合ってからもずっとだ。

本気で忍足が好き。

そう思い始めたのはいつだっただろう。
今でもこの気持ちは変わらない。
でもあいつは、いつも俺以外の奴のそばにいて、俺に見せたこともない笑顔を見せて…
「忍足…俺のこと好きじゃないのかよ…」
いつも不安で不安で、胸が押し潰されそうだった。
それでも、傍に居たいから…何も言えなかった。





「次は音楽…移動教室か。」
俺は忍足を探したが、いなかった。
(また……か。)
跡部はそのまま音楽室へ向かった。
しかし、廊下を歩いてる時だった。
『忍足くん…』
(忍足?あいつこんな所で何してやがんだ)
ここは資料室だった。
跡部は何気なく、部屋の中を覗いた。
「忍足、次移…」

跡部は最後まで言葉を発さないで走り出した。
「景ちゃん!!!!」





跡部が目にした物は、忍足と女子生徒のキスシーン。
しかも、自分が気付かなければ、キス以上の事もしそうな雰囲気だった。
いくら跡部でも、そんな事をしているのを見て平気でいられるわけがなかった。



侑士side
「景ちゃん!!待って!!誤解や!!あれは、」
忍足は跡部の腕を掴んだ。でも、忍足は跡部の顔を見た瞬間、腕を離してしまった。
跡部が大粒の涙を流していたからだ。
「侑士、俺はもう耐えれない。別れてくれ。」
そのまま跡部は再び走り出した。
しかし、忍足は再び腕をつかむ事が出来なかった。

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