推しは恋のキューピッド
「ご期待そえなくてごめんよ。デートじゃなくてこの子関連」
そう言って、私はバッグについているこたろうのマスコットを指差す。
「あぁ、こたろうさんかぁ〜。なーんだ!でも推し活楽しみですね!それは残業できませんね。」
川崎さんには以前私の推しがこたろうということを伝えていたので、すぐ察したようだ。
「そんな忙しい中森さんには申し訳ないんですけど…ここってどうやるか聞いてもいいですか??」
「ん?全然いいよ!どれどれ?」
私は川崎さんから資料を受け取り、目を通す。
が•••••
「川崎さん。これ…早川課長担当のところだよね?私あんまりこれに関しては詳しくないから、本人に聞いた方がいいと思うけど…」
そう言って資料から顔をあげると、川崎さんはがっくり肩を落としている。
「いやー、やっぱそうですよねー。中森さん聞きやすいし、教え方も上手いから、もし分かったら聞きたいなと思ったんですけど、やっぱり早川課長に聞かないとですよね…。…ここだけの話、私ちょっと早川課長怖いんですよね。何考えてるのか分からないというか、なんというか…」