推しは恋のキューピッド

策士

「え、中森さん。その顔どうしたんですか…」

次の日の月曜日。
いつも通り出勤すると、
私の腫れ上がった目に気づいた川崎さんが驚いている。


「んーちょっとね。あ、川崎さん!
土曜日は本当にありがとうね!」

土曜日というワードに少し胸がチクッとする。


「まぁそれは全然いいんですけど…。
私今日お弁当持ってきたんで、
お昼休み話聞きますからね!」


「うん。」



私が頷くと同時に、早川課長が後ろにたって私を呼ぶ。


「中森さん。ちょっといいか?」


「あ、はい。」


私は早川課長の後に続いてオフィスを出る。
休憩所にくると、早川課長がこちらを振り向き、
心配そうに顔を覗き込む。


「その目どうしたんだ?またなんかあったのか?
なんかあったら連絡しろって言っただろ。」


私の異変に気づき、声をかけてくれたようだ。
でも今の私には、そんな優しさは迷惑だ。
私と同じ気持ちじゃないなら、ほっといてほしい。


「なんでもありません!心配されるようなことは
ないので!私、仕事戻りますね。」



私はぺこっとお辞儀をして、先に席に戻る。
1人で戻ってきた私をみて、川崎さんは心配そうな顔を
しているが私は気づかない振りをしてパソコンに向かう。

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