大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

第24話 ミト絶体絶命

「え?伝染病?」

ミトは思わず聞き返した。
エイナの話では、帰路の船内で伝染病が発生し、何人もの感染者が出たという。
その中には、王とセルファも含まれているそうだ。

「はい。イザリアでは数年毎に流行を繰り返す流行り病だそうです。恐らく、イザリアで誰かが罹り、それが船内で蔓延してしまったのではないかとのことです。通常ですと、1週間ほどで自然回復するので心配はないのですが、稀に重症化するケースがあるとか…。
ローザンでは珍しい病ですので、免疫を持っている人は少なく、大流行にならないように、船に乗っていた人たちは隔離病棟に滞在するそうです。
国王様とセルファ様は、城内の一室におられますが、医師の許可が出るまでは、面会できません」

結構大変な事態になっている。
ミトは影が心配になった。

「それで、王とセルファの容態は?」

「国王様は高熱ではあるものの、食事もしっかり採られ、安静にしていれば心配はないそうです」

「セルファは?」

「それが…、あまり病状が良くなく、点滴をされていると聞きました」

「それで?」

「それ以上は何も…」

「そう…」

やっぱり出国したのは影の方だ。
ミトは根拠なく確信した。
そして、最後に会った夜、疲労困憊していた影を思い出す。
多忙過ぎて免疫が下がっていたのかもしれない。

(だってとても疲れていたもの。無理ばっかりして、何やってるのよ。少し自分を大事にすればいいのに!)

無茶な影に、説教してやりたくなった。
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