大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】
「僕には君だけだよ。ユフィ」

自分にぴったりと肌を密着させるユフィーリオの髪を優しく撫でながらセルファは言った。

「ええ…」

「だから、僕が帰るのを起きて待っていなくていい。ちゃんと眠らないと、体が参ってしまうよ」

ユフィーリオを心配し、思いやっての発言だった。
ところが、ユフィーリオの表情がさっと曇り、たちまち目から涙が溢れる。

「ユフィ?」

セルファは困惑した。

「どうして、そんなことを言うの?」

「どうしてって、ユフィのことが心配だからに決まってるじゃないか」

「嘘」

イヤイヤをするように、ユフィーリオは首を振った。

「嘘って…なぜそう思う?」

「本当は私が重いと思っているんでしょう?だから、今日遅く帰ってきたのでしょう?私のことを煩わしいと思っているんだわ、きっと」

ユフィーリオの認知の歪み方に、セルファはさすがに驚いてしまう。

「だから、それは寝過ごしただけだとさっき説明したはずだよ」

それでも優しく諭そうとした。

「どうして眠ってしまうの?私を好きなら、時間が来るまで起きていられるはずよ」

当たり前のようにユフィーリオは無茶なことを言う。

「僕だって疲れているんだ!」

セルファは思わず語気が強くなった。
こんなにも全力で尽くしているのに、なぜわかってくれないのだ。
自分が出した大きな声に、ユフィーリオはビクンと体を震わせた。
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