大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】
「あの…」
このまま一人部屋に帰されるのが嫌で、ユフィーリオは大丈夫だと言おうとしたが…。
「アズノール様、少しの離席をお許しください。すぐに戻ります」
影武者はそう言ってユフィーリオの言葉を遮り、席を立つよう促した。
そして、肩を支えるようにして、部屋の外に連れ出した。
部屋の外に控えていた護衛に、ユフィーリオの侍女を呼ぶよう言いつける影。
「今日はゆっくり休むといいよ」
影が速やかに部屋に戻ろうとしたとき、ユフィーリオに腕を掴まれた。
「待って」
影は振り向く。
「私、あなたに聞いてほしいことがたくさんあるの」
(オレに?)
先ほどのやり取りで、ユフィーリオは自分がセルファではないと気付いたはずなのに。
影は不思議に思った。
「セルファではなく、あなたに」
ユフィーリオはきっぱりそう言って、影の腕を掴む手に力を込めた。
影は優しく微笑み、そしてユフィーリオの手をそっと握ると、腕から離した。
約束はできないし、一刻も早く部屋に戻らねばならなかった。
「後は頼んだよ」
扉の横に控えているもう一人の護衛にそう言って、影は部屋に戻った。
扉が閉まった瞬間、泣き崩れそうになる自分を必死に叱咤してユフィーリオは耐えた。
目の前にいたのに。
確かめたいことがたくさんあったのに。
扉が閉められた瞬間、拒絶されたような気持ちになった。
しばらくして、侍女が慌ててやってきた。
昨日よりはずっと体調は良いが、たまに気持ちが悪いかもしれないと感じる瞬間がある。
やはり、体調不良を少し引きずっているのかもしれない。
その後部屋に戻り、ユフィーリオはぼんやりと過ごした。
明日も公務がある。
(来るのはセルファ?それとも影武者?自分が今会いたいのはどっち?)
ユフィーリオは自問自答した。
「私が会いたいのは、顔をみたいと思うのは…、セルファではないわ…」
むしろ、今はセルファに会いたくない。
セルファに会うのが恐かった。
それより、影武者に会いたい。
あの、優しく穏やかな眼差しで、さっきのように守ってほしい。
しかし、次の日、ユフィーリオが影武者に会うことはなかった。
体調が万全にならないという理由で、公務を禁止されてしまったのだった。
このまま一人部屋に帰されるのが嫌で、ユフィーリオは大丈夫だと言おうとしたが…。
「アズノール様、少しの離席をお許しください。すぐに戻ります」
影武者はそう言ってユフィーリオの言葉を遮り、席を立つよう促した。
そして、肩を支えるようにして、部屋の外に連れ出した。
部屋の外に控えていた護衛に、ユフィーリオの侍女を呼ぶよう言いつける影。
「今日はゆっくり休むといいよ」
影が速やかに部屋に戻ろうとしたとき、ユフィーリオに腕を掴まれた。
「待って」
影は振り向く。
「私、あなたに聞いてほしいことがたくさんあるの」
(オレに?)
先ほどのやり取りで、ユフィーリオは自分がセルファではないと気付いたはずなのに。
影は不思議に思った。
「セルファではなく、あなたに」
ユフィーリオはきっぱりそう言って、影の腕を掴む手に力を込めた。
影は優しく微笑み、そしてユフィーリオの手をそっと握ると、腕から離した。
約束はできないし、一刻も早く部屋に戻らねばならなかった。
「後は頼んだよ」
扉の横に控えているもう一人の護衛にそう言って、影は部屋に戻った。
扉が閉まった瞬間、泣き崩れそうになる自分を必死に叱咤してユフィーリオは耐えた。
目の前にいたのに。
確かめたいことがたくさんあったのに。
扉が閉められた瞬間、拒絶されたような気持ちになった。
しばらくして、侍女が慌ててやってきた。
昨日よりはずっと体調は良いが、たまに気持ちが悪いかもしれないと感じる瞬間がある。
やはり、体調不良を少し引きずっているのかもしれない。
その後部屋に戻り、ユフィーリオはぼんやりと過ごした。
明日も公務がある。
(来るのはセルファ?それとも影武者?自分が今会いたいのはどっち?)
ユフィーリオは自問自答した。
「私が会いたいのは、顔をみたいと思うのは…、セルファではないわ…」
むしろ、今はセルファに会いたくない。
セルファに会うのが恐かった。
それより、影武者に会いたい。
あの、優しく穏やかな眼差しで、さっきのように守ってほしい。
しかし、次の日、ユフィーリオが影武者に会うことはなかった。
体調が万全にならないという理由で、公務を禁止されてしまったのだった。