大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】
「することになってるって?」

「そのまんまの意味。夜のお務めってやつだ。そもそも、なんでローザンが一夫多妻か知ってるか?」

「さぁ…」

聞き返されて、首をかしげるミト。

「公認の秘密みたいになってるけど、この国の王族は女系なんだよ。なかなか男児が生まれない。それ以前に、なかなか子供を授からない。不妊体質なわけ。だから、一夫多妻制なんだ。
数少ない直系の男がたくさんの妃を持って、それでようやく血を存続することができてるってわけ。
実際あんたは4人目の妃だろ?セルファがユフィーリアと結婚したのは2年前。それから続々と他国から妃として姫がくるけど、未だに誰一人身篭っていない」

「そう…なの…」

もうこの国の常識には正直ついていけず、ミトは思考停止状態だ。

「だけど、あいつ…セルファは、ユフィーリオ一筋わけ。他の女なんか興味ゼロで、ましてやセックスなんてまっぴらごめんなわけ。
でも、王族として子孫を残すのは必須だ。本来なら、そんなこと言ってられるわけもなく、何人もの妃と関係を持つのが義務なんだけど、あいつにはオレがいた。自分そっくりで、しかもDNAまでもが同一のオレがね」

ユフィーリオ一筋。
彼女以外を抱くのがイヤだ。
その話は、ミトの頭の中にすっと入ってきた。

(やっぱり)

セルファはユフィーリオを大切にしている。他の者など比較対象にならない位に。
納得できる事実だった。
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