悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「これで2人だね。3人だと降参したかもだけど2人だとどうかな?」
私はニヤリと暗殺者を見て口の端をあげる。余裕そうに見せているが、実はそうではない。
プロの暗殺者に丸腰の私ができることなんて実際少ない。倒すことよりも逃げることに集中した方がいい。
どうにか隙が生まれないものかと暗殺者の様子を伺うが、もう暗殺者には隙がない。
そうこういろいろと考えていると暗殺者は一斉に私に飛びかかってきた。
これはもう一発を食らってでも逃げるしかない。
暗殺者たちに向かって走り出した私の左脇腹に1人の暗殺者が手に持っていた短剣を刺そうとする。
私はそれをわざと受けて距離の縮まった暗殺者を思いっきり蹴飛ばした。
「ぐぅっ!」
私に蹴飛ばされた暗殺者は短剣を持ったまま勢いよく壁に叩きつけられる。
それにより私の左脇腹から短剣が抜けてしまった為、どくどくとそこから血が溢れ始めた。
最悪だが、このくらいの傷は仕方ない。
「さぁ、あと1人だね」
私は最後に残った暗殺者にそう言って笑うと宮殿の外へ向かって走り出した。