悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「…っ。かしこまりました。ステラ様」
私の圧に圧倒されたのか、驚いた表情を浮かべながらも、反射的にまるで主人に忠誠を誓うようにジャンがその場で跪く。
「…」
深々と頭を下げているジャンを見て私は思った。
リタほど性格の悪い悪女はなかなかいないが、彼女の誰かを強制的に従わせる女王のような風格は天下一品だと。
だからこそ周りは彼女に逆らえないし、従うしかなかったのだ。
一か八かでリタの真似をしてみたが、ここまで効き目があるとは思いもしなかった。
「任せたよ!ジャン!」
私は跪くジャンに少しだけ驚きながらも、それだけ言うとまた全力で走り出した。
早く、ユリウスの元へ行かねば。