悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
第8章 囚われの少女は歪んだ愛を受ける
1.歪んだ愛情
上質な布にふわふわの布団とマットレス。
捕えられたにしてはやけに待遇の良すぎるベッドの上で私は目を覚ました。
てっきり冷たい床の上で目覚めると思っていたので拍子抜けだ。
そう思いながらもとりあえず状況を確認する為に体を起こす。
そこで私はある違和感を覚えた。
体調が悪い訳はない。
酷い痛みを感じる訳でもない。
むしろ体は軽く、調子もいいくらいだ。
それなのに足に全く感覚がないのだ。
痛みも何も感じられず、動かすことさえもできない。
足の違和感の正体を探る為に、恐る恐る布団をめくろうとしたが、それはある人物に声をかけられたことによって止められた。
「お目覚めですか、ステラお嬢様」
足元から反射的に声の主の方へと視線を向ける。
するとそこには本当に嬉しそうにその空色の瞳を細めてこちらを見つめるセスの姿があった。