悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
この3日間、両足が折れており、自力で動けない私はずっとこのふわふわのベッドの上にいた。
朝、昼、晩、とセスが仕事の合間を縫ってここへやって来ては私の世話をする。
それはご飯から始まり、お風呂もトイレも全部セスの管理下だった。
そこに私の意思などない。
これではセスのただのお気に入りのお人形状態だ。
ベッドの上で仰向けになり、綺麗なシミ一つない白い天井をぼーっと見つめる。
私、どうしてこんなことになっているんだろ。
足の感覚は未だになく、動く気さえもしない。
足を折られているのなら、キースに渡されたチート万能薬で治して、さっさと逃げようとも考えたが、ここがセスの屋敷であるという情報があるだけで、あとは何もわからない以上、下手には動けなかった。
例えば私があの唯一の出入り口である扉を壊して、この部屋から逃げたとする。
しかしそれをセスはきっと想定し、私を逃さないための対策をいろいろとしているはずなので、扉を壊せたところで、私はきっとセスから逃げ切ることができないだろう。
そして最悪なのは逃げようとしたことがセスにバレた時だ。
大人しくしている今でさえ両足を折られている状況だ。
逃げようとしたことがバレればただではすまないばずだ。
一生私が逃げられないように足の腱を切る…またはそもそも足自体を切断されるかもしれない。
逃げようとした後だ。キースのチート万能薬ももう使ってしまった為、使えない。
そうなれば、私は本当にここで一生を過ごすことになる。
だからこそ行動は慎重にしなければならないのだ。
どうすればこの状況を打開できるのか。
私はベッドの上で1人、考えを巡らせた。