悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
第9章 それぞれの想いの行方
1.ステラの全て sideユリウス
sideユリウス
俺の前からステラが消えた。
一緒に寝ていたステラの異変に気付き、声をかけたがその時にはもう遅かった。
ステラが消えたあの夜からもう三ヶ月が経つ。
最後にステラが目撃されたのはマルナの街の奥にあるルーワの森だ。
そこでロイ殿下はステラを見失ってしまったらしい。
ステラは今どこにいるのだろうか。
俺の目の前から消えた日、ステラは吐血していた。
そしてロイ殿下もステラの吐血を見たらしい。
ステラは何か病気を患っているのかもしれない。
そんな状態の彼女を今も保護できず、毎日焦りだけが募る。
ステラが消えて深く眠れなくなってしまった俺は毎日毎日夢を見た。
俺の手の届く場所で、はつらつと笑うステラ。
愛らしく愛おしい存在にいつも幸せを感じるが、いつもそれは突然終わる。
ステラが急にその場で吐血をし始めるからだ。
『助けて、ユリウス』
苦しそうに何度も何度も吐血をするステラを俺はただ見ていることしかできない。
どうにかしてやろうと近づこうとすれば、その存在は霧のように消える。
そしてまた俺の手の届かないところで何度も何度も繰り返し吐血をするのだ。
そんな悪夢を俺はもう何十回と見ていた。
あの悪夢のようにステラが今もどこかで1人で苦しんでいるのではないかと思うと、今の状況がもどかしくてもどかしくて仕方がなかった。