悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
4.最期に会いたい人
sideステラ
屋敷内の廊下にリタの楽しそうな笑い声が響く。
車椅子から引きずり落とされ、廊下に倒れ込んでいる私の目の前にはリタが、後ろには騎士たちがおり、身動き一つ取れない私に逃げ場はない。
息の詰まるほどの閉塞感が私を襲う。
この絶望的な状況を打開する為にはもうあれに頼るしかないだろう。
「…っ」
ぎゅうとネックレスを握り締める右手に力が込められる。
…本当は極力使いたくなかったんだけど。
そんなこと思いながらも、私は覚悟を決め、握り締めていたネックレスの容器の蓋を開ける。
それからその容器に口をつけ、容器内の紫色の液体を一気に口に含み、飲み込んだ。
サラサラで意外にも無味だったそれが勢いよく喉を通っていく。
「…っ!」
喉を全ての万能薬が通り切ったところで、ドクンっ!と大きく心臓が跳ねた。
熱くて、苦しくて、痛い。