悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜

4.大切な存在と守護石 sideユリウス





sideユリウス



「いらっしゃい…あぁ、これはこれはユリウス様」



古びた店の扉を開けた俺を見て店主の老婆の魔法使いがこちらに深々と頭を下げる。
そして「本日はどういったご用件で?」とにこやかに笑いながら俺に近づいてきた。



「これを大事な人から貰ってな。肌身離さず付けるつもりだ。壊れないようにして欲しい」



俺は懐から上等な布で作られた小袋を出し、そこからさらに昨日花祭りの時にステラから貰った守護石のピアスを出す。



「守護石に守護の魔法ですか?」

「ああ」

「…かしこまりました」



俺を一瞬だけ不思議そうに見ていた魔法使いだが、すぐに切り替えて店の棚の物色を始めた。

何を不思議に思ったのだろうか。



「…大変不躾な質問ですが大切な方とは女性ですか?」



棚から目を離さず、恐る恐るといった感じで魔法使いが俺に質問をする。



「そうだが。それがどうした?」



魔法使いの質問の意図はわからなかったが、俺は淡々とそれに答えた。

ステラは女なので魔法使いの質問は間違っていない。
まあ、女性というより、少女だが。

そんな俺の答えを聞いて魔法使いは「まあ!そうですか!ついにですか!いやあ!そうですか!」とどこか興奮気味に反応していた。

…全く魔法使いのリアクションの意味がわからない。

魔法使いはどこか嬉しそうに棚から小瓶をいくつか取り出し、こちらに戻ってきた。




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