悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜

2.愛した彼女はどこかへ消えた sideロイ






sideロイ



「我が家の離れにある花畑なのですが、この時期には様々な種類の花が咲くので今が見頃なのですよ」



仕事先であるフランドル公爵邸にて。
フランドル公爵とある程度仕事の話を終え、宮殿に帰ろうとした僕にユリウスによく似たフランドル公爵がそう言った。
なので僕は従者のピエールを後ろに控えさせ、公爵自慢の花畑に向かった。

そしてそこでステラと出会った。



「お断りします」



僕からの提案を笑顔で断るステラの姿と僕の愛した婚約者の姿が重なる。

時には僕に愛を囁き、時には僕に興味さえ示さない。
わがままで傲慢で聡明な不思議でチグハグな彼女。

彼女にただ愛を囁いてもきっと彼女はそれを受け取らない。だから僕は彼女に婚約の契約を提案したのだ。
婚約をしてしまえば彼女はもう僕のものだ。
そこからじっくり愛を育めばいい。
そう思っていたのに。

婚約をした彼女から僕が愛していた全てがなくなった。
彼女はもう何も面白くないただのわがままで傲慢なだけの令嬢になってしまったのだ。



「…何ですか」



何も言わずにじっと僕に見つめられ続けることに耐えられなくなったのだろう。
ステラが気まずそうにこちらを睨む。

やはり、似ている。
僕が愛したリタに。

リタの年齢は18歳だ。
だからこそ帝国中から18歳前後の女性の素性調べているというのに。
今まで見たどの女性よりもステラはリタだった。
まだ幼い少女だというのに。




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