悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜

3. 寝過ぎた朝に皇太子





「…ス」



遠くの方から誰かの声が聞こえる。



「…テラ」



聞き覚えのある誰かの声。
その声が何か言っている。



「…ステラ」



私の名前を呼んでいる。



「…んん」



そこまで認識して私はやっと自身の重たい瞼を開けた。



「…ステラ、やっと起きた」



天使が窓から差す光を浴びてこちらに微笑んでいる。
キラキラと輝く色素の薄い金髪は何よりも美しく、私を優しく見つめるルビー色の瞳はまるで本物の宝石のような輝きを放っていた。

ここは天国なのかな。

ぼーっとそんなことを思っていると天使はおかしそうにクスクスと笑い始めた。



「ステラぁ?まだ寝ぼけているのかな?そろそろ起きようね」

「…」



私はそんな天使をじっと見つめる。
美しい顔に金の髪にルビー色の瞳。

ロイっ!



「…っ!!!!」



やっと頭が覚醒した私は勢いよくその場から体を起こした。
ななな、何故ここにロイが!?
それより私はいつの間に寝てしまったの!?
どのくらい寝てしまったの!?





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