脇役だって、恋すれば
『お前らが誘ったところで、人気モデルがほいほい乗ってくるかよ。芦ヶ谷の迷惑になるだけなんだからやめろ』

 怒気を含んだ口調で言い放ち、男子たちはギョッとして固まった。

 初めてかばわれ、名前を呼ばれて驚く私。彼は優しい瞳をこちらに向け、同意を求めるように『ねぇ』と言った。

 その瞬間の、困ったように微笑みかける彼をはっきり覚えている。とくんと小さく鳴った、胸の鼓動も。

 男子たちが気まずそうに散っていった後、新涼くんにお礼を言うと、彼は立ったまま話し始めた。

『前からうぜぇなと思ってたんだ。芦ヶ谷が優しいからって調子に乗りすぎ』
『建て前だけだよ。あまりにもいろいろ聞かれるから、心の中では〝私はロープレの村人か!〟ってツッコんでた』
『ははっ。村人か、確かに。つーか、芦ヶ谷もゲームとかするの?』
『するよ。今ハマってるのは……』

 気を許したような笑顔と、再び椅子に腰を下ろして私と向き合う彼にドキッとしながら、現実逃避でやり始めたゲームの話をした。

 ちょっぴり嬉しそうに『俺もそれ好き』と言われて胸の高鳴りを感じたのも、傾いた太陽のとろけそうなオレンジ色も忘れられない。

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