脇役だって、恋すれば
「すみません! お待たせしました」
「カップル成立?」
「なんでそーなるんですか!」

 にやりと口角を上げる部長に、即座にツッコんだ。私と慶吾さんをくっつけようとしないでください!

 なんとか部長たちをあしらって美味しそうなランチを選び、長いテーブルに五人で席についた。

 しかし、食事を終える頃にまたしても社長の話になり、私の斜め前に座る田端さんが言う。

「それにしても、芦ヶ谷さんすごいですね。社長とあんなふうに対等に話せるなんて」
「いえ、対等では……。外部の人間だから、社長も気を遣ってくださるんだと思います」

 やっぱり慶吾さんとお近づきになるのは、社員の方々にとってはすごいことらしい。私は出会いが仕事の場ではなかったし、間に青羽がいたせいもあって普通に話せるのだろう。そこまでは言えないけれど。

 田端さんは「それもあるかもしれませんね」と納得したように頷き、苦笑混じりに打ち明ける。

「社長の顔色を窺いながら接する社員が結構多いんですよ。自分も含めて。普段は物腰柔らかで人当たりもいいから嫌われているわけじゃないんですけど、仕事になるとストイックで、微笑みながら怒るタイプなので緊張するんです」

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