DEEP BLUE
「ごめん……」
……そう簡単にはあたしの心の扉は開かなかった。
だけどね、それをゆっくりでもどうにか開こうとしてくれる人がいる事は分かったんだ。
分かるんだけど………
気まずい雰囲気が続く中、その沈黙を破ってくれたのは
「……水族館。」
「は?」
「明日水族館行きませんか?」
へ…?
今そんなこという………?
「愛美さん、前に行きたいって言ってたじゃないですか♪」
「そ、そうだけどさぁ……」
……だって何で今?
ちょっとむすっとしたあたしの顔を見て、太郎はくすくすと笑う。
「オレ、明日一日休みなんです。
愛美さんもその顔じゃきっとお仕事お休みしなきゃいけないでしょう?」
「その顔って………失礼な」
「あ、ごめんなさい。」
ヤベッて表情をして、余計な事を言ってしまったと落ち込む太郎に、今度はあたしが吹き出した。
「いいよー、もう。仕方ないな。
じゃあ水族館付き合ってあげるよ」
「ほんとですか⁉」
「……うん」
……こんな言い方、世界一可愛くないな。
本当は行きたかったくせに、我ながら素直じゃない。
でもね、それでも太郎は目をキラキラさせて喜んでくれたの。
あたしは何だかそんな無邪気な笑顔を見ると、何でかな。
………嬉しかったんだ。
「やったぁ!じゃあデートっすね!
オレめちゃくちゃ張り切ります!!」
「うん、楽しみにしてるよ。未来の海洋博士さん♪」
「りょーかいです‼‼」
子犬みたいな太郎に、しょうがないなって笑った。