DEEP BLUE
「何でですか?」
「……何にもない……っ」
「言ってください」
「何にもないってば!」
荒くなった息を落ち着かせるように、そう言い放つ。
言える訳ない……
好きだった人と太郎を重ねるなんて最低だよ……
うかつに"見ないで"なんて口走った自分を恨んだ。
あたしはうつ向いて砂浜へと視線を落とす。
すると彼はそれを待っていたかのように口を開いた。
「………愛美さんは………
都合が悪くなると、すぐそうやって目をそらしますね。」
「……ーーーっ」
息をする道が、鋭くなった気がした。
「癖なんですかね……
オレ、目をそらされたら余計に心配してしまいます……」
「……っ、」
「でもオレは愛美さんから目をそらしませんから」
太郎はその言葉通り、あたしをじっと見つめていた。
澄き通った目で。
………ブレることなく、真っ直ぐに。
その目に、震えているあたしが映っていた。