DEEP BLUE
違うよね、絶対ちがうよ。
太郎が死ぬわけない。
死ぬわけないよね?
今もあたしを裏切ったまま、どこかで笑って生きてるよね?
ねぇそうでしょう?
「……それ…って本当に……太郎?」
『だから太郎って誰よ、古賀くんの事?』
「分かんないっ……」
『はぁ?名前分かんないの?』
思えばあたしは太郎の事を何も知らなかった。
名前も知らない。
連絡先も知らない。
どこに住んでいるかも何歳なのかも
何も
「──────なんにも知らないっ………」
バカだ。
太郎はあたしのことをいっぱい聞いてくれてたのに
あたしは太郎に何も聞いてあげなかった。
だから何にも分からない。
だから美月にも彼の事が通じない。
《“太郎………”》
《“は?”》
《“君の名前。太郎ね”》
《“え!?何でっすか?!”》
《“ワンコみたいだから”》
「……ッ……」
名前まで偽って付けて、本名さえも聞いてあげなかった
あんなにあたしの事を理解しようとしてくれたのに
あたしはあなたの事を何一つ理解しようとしなかった
あたしは本当にバカだ