敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
俺が正直に「いえ。お付き合いしていませんが」と答えると、彼女はぎょんっと眉間に皺を寄せて渋い顔をした。

「そうですか……。やっぱり誓野さん的には、みどり先生は女としてナシですか」

「いえ。俺としては俄然アリですが」

「えっ……!? じゃあどうして」

「担当が作家に手を出しちゃまずいでしょう」

至極真っ当なことを言ったつもりだったが、吉川さんは「いや真面目かっ」と俺の胸もとを手の甲で叩いた。

「二カ月も山奥で、ひとつ屋根の下で暮らしていたんですよね? そういう雰囲気にはならなかったんですか?」

「なったといえばなりましたけど、そこは手を出したら男が廃ると言うか。鉄壁の理性で抑え込んだといいますか」

「ぶっちゃけ、キスくらいはしました?」

「しませんよ。したらアウトでしょう」

「うわー。理性が憎らしいっ!」

ぺいんと自身の額を叩く吉川さん。

「いや、からかっているわけではないんですよ? みどり先生に男ができれば、ちょっとは人間らしい生活になるかなって期待してて。だってこのまま、また私が家事をするようになっちゃったら、元の木阿弥じゃありませんか」

< 126 / 188 >

この作品をシェア

pagetop