敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
この写真を見て私ではないと、別人だと……気づいてくれなかったの?

私を軽蔑しているのだろうか。最低な女だって思ってる……?

そう考えたら急に呼吸ができなくなって眩暈がした。

足もとがぐらついて、一歩、二歩とたたらを踏む。やがて視界が黒ずんできて、自分が立っているのかいないのか、わからなくなった。

「翠さん……!」

切羽詰まった彼の声が耳もとで響く。私は膝に力を入れられないまま、必死に「違うのっ……」と身じろぎした。

「これは、私じゃない……知らない、なにもしてな――」

「わかっています! 当たり前です! 落ち着いて、ゆっくり息をして」

酸欠で朦朧とする意識の中、温もりに包まれる。

彼の指示通りにゆっくり呼吸をすると、ようやく目の前にある彼の顔に視点が合った。いつの間にか彼が私を抱き支えてくれている。

あの日、私をそっとうしろから抱き寄せてくれた彼と、記憶が重なって錯乱した。

「勇さん……信じて。私……」

「信じてる。翠さんがこんなことするはずがない」

熱のこもった声で言う彼。ちゃんとわかってくれている……?

怒っているのではなく、心配してくれているの?

< 131 / 188 >

この作品をシェア

pagetop