桃色
翔さんは美容師のことならなんでも俺に聞いてなって言ってこっそり、名刺をくれた。

名刺には桐島翔と書かれていた。

『桐島』?

・・・ゆぅ君と同じ。

ふと、そんなことを思った。

名刺の下の方を見ると手書きで携帯の番号が書かれていた。


「何、これ?」


電話してもいいってこと?

まさかね・・・・・。


電話なんて出来ないよね。


「あぁ~、やっぱり美容師はいいねぇ~」

「とか言って、さっきの人のこと気になってんじゃないの?」

「はぁ?翔さんのこと?違うよ~!!私の夢ってね、美容師だったんだ。なんか、翔さん見てたらまた美容師
になりたくなったの~」


私達はお互いの夢を語りながら帰った。

でも、本当は翔さんのことが少しだけ気になってたんだ。

私の大好きだったあの人に似ていたから。

名字も一緒だしね。


部屋で一人、考えてた・・・。

私はゆぅ君のことが大好きだった。

今でも大好きなことに変わりはない。


なのに、なんで翔さんのこと気になってんだろう?

きっと、気のせいだよね。



「♪~♪~♪」


私の携帯が鳴った。

知らない番号からだ。


誰だろう?と思ったけど、電話に出ることにした。


「・・・もしもし?」

「あっ、桃子ちゃん?」


電話の向こうから男の人の声がした。

聞いたことあるような、ないような・・・。


「あの~、誰ですか?」

「あっ、ごめんごめん。翔だけど・・・」

「えっ?翔って・・・さっきの翔さん?」

「そうそう!さっきの翔さん!!ごめんなぁ~、いきなり。桃子ちゃんさっき会員証作っただろ?んで、携帯番号書いてたからかけてみた!!」


いきなりの翔さんからの電話に正直・・・・・びっくりした。


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