桃色
私は、タケルの車を降りて家に向かう。


「もう、ここでいいよ」

そう言う私に、

「家まで、送る!!」

タケルはそう言って、一緒に歩いてくれた。



「ねぇ、私、心の穴、ふさがったよ」

私はそう言った。

あの日、翔さんと別れてからずっと、私の心には風が通り抜けていた。

そう思うぐらいに、心にはポッカリと穴が開いていた。

時々、痛んで、空しく、悲しい風が吹き抜けていた。


「心の穴?」

「うん・・・。やっと、今日、ふさがったよ」

「そっか、よかったな!」

タケルはそう言って、私の手を握る。


「友達は手を繋がないよ!!」

私はそう言ってタケルを見た。

「友達だから、繋ぐんだよ!!」

タケルはそう言って笑ってた。

「意味分かんない!」

私は、そう言った。


「ねぇ、もう、いきなりいなくならないでね?」

「分かってる・・・」

「絶対だからね!!」

私は、強い口調でそう言った。


「俺も、これからのことちゃんと考えるよ」

そう言うタケルは、いつもに増してかっこよかった。

「かっこいいじゃん!!タケル!!」

私はそう言ってタケルにパンチをした。

「惚れんなよ!!」

タケルはそう言って笑った。



誰もがみんな、いつか、大人になる。

どうしようもないことが起こるかもしれない。

一人じゃ、抱えきれないことが・・・。

でも、私は大丈夫。

私にはこんな素敵な友達がいるから。


タケル、忘れないで・・・。

私は、タケルの友達だよ?

ずっと、そばにいるから・・・。

辛かったら、私を頼っていいんだよ。

だから、お願い。

一人で苦しまないで・・・。


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