桃色
「そっか、ならよかった・・・」

ゆぅ君が安心したような顔をした。

その顔を見て、私も安心した。


「私だって、嫉妬とかするしね!」

「さっきの看護婦さんとか?」

笑いながらそう聞かれた。

「うん。私の方がたぶん、重いと思うよ・・・」


束縛って初めてされた。

私達は、長い間、離れていたから仕方ない
のかもしれない。

不安なこともあると思うし、離れたくないって
思う気持ちも人一倍強いと思う。

自分の嫉妬がすごく重いって思ったり
するよ。

だけど、ゆぅ君も同じなんだね・・・。


愛し合えば愛し合うほど、人はそうなっていく
のかもしれない。


「何でも話してな。俺に出来ることなら、
 何でもするし」

「うん、ゆぅ君もね」


私達は、いつもそんな話をしてるよね。


何でも言う。

何でも話す。


そんな、約束をしているけど、言えないこと
だってある。

話せないことだってあるんだ。


私には、ゆぅ君に話せないことが抱えきれ
ないほどいっぱいあるんだよ。


それは、ゆぅ君を信じてないから話せない
ことじゃない。


傷付けたくないから、心配させたくないから、
話せないんだ。


これって、言い訳かな?


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