桃色
今日も、帰り道。


話すことと言えば・・・ゆぅ君のこと。


最近は、この話ばっかり。


「優士君のことどうするつもり?」


千絵がそう言う。


「どうもしない・・・」


私はいつもこんな答え方しか出来ない。


「でも、優士君はさ、美鈴ちゃんと付き合ってたけど、桃子のことが好きだから美鈴ちゃんと別れたわけでしょ?」

「うん、ちゃんと分かってるよ。本当は嬉しいし。でもね、ゆぅ君とは付き合ったり出来ないの」

「ど~して?」


なつが不思議そうに聞いてくる。


「もしね、私が美鈴ちゃんの立場だったらきっと、耐えられないから」

「そっか、でも、それじゃぁ、優士君がかわいそうだよ・・・」


なつの言うとおりだと思った。


「だったら、三宅君を選ぶの?」


千絵からとても痛い質問をされた。


「選べないよ・・・」

「どうして?三宅君はきっと桃子のこと好きだと思うよ?」

「それは分かんないじゃん。例え、ヒロ君が私のこと好きだとしても、やっぱりヒロ君を選べないと思う」


だって、私はゆぅ君のことが・・・。


「じゃぁ、どうすんの?」


千絵となつは困った顔をした。


そして、私は答える。


「・・・どうもしないよ」


「ほんとにそれでいいの?」


二人の心配をよそに私は本当の想いを心にしまい込んだ。



きっと、それが一番いい。


これが秘密の恋の始まり。

< 59 / 500 >

この作品をシェア

pagetop