わたしのスマホくん
──完全にうちの生徒が見あたらないところまで行き、やっと足を止める。
「……はぁ、疲れた」
わたしだけが息切れ。スマホくんたちは運動しても全く疲れてないらしい。なんてうらやましい。
息を整えながら顔を上げれば、ポツリ、しずくが落ちたのが見えた。
「あ、降ってき──」
「い、いやだっ水、雨こわい!」
降ってきたね、と言いかけたわたしに、ぎゅうっと莉雨くんが正面から抱きついてきた。新鮮な思いもあるけど、男の子に変わりない。だから心臓が急に脈打つのがはやくなった。
「ちょっと莉雨!?いつもおとなしくしてるのに公の場でそんなの許さないよ!青空も赤くならないで!」
「こら円華っ」
莉雨くんに手を伸ばす円華くんだけど、明華くんが力技で止める。
赤いって……これは仕方ない自然現象!
「水やだっ、雨むりっ」
「ボクも公の場でハグしたい!」
「待って桃李、その前に傘。莉雨、傘に入りなよ」
碧くんがひらいてくれた傘に、わたしと莉雨くんが入るけど、莉雨くんは『水やだ、こわい』と言っている。それに他の皆が濡れちゃう。
「莉雨、こわいならスマホにもどりな──」
「こわいっ!」
円華くんが言い終える前に、よりぎゅうっと抱きついてきた莉雨くん。