先生の愛人になりたい。【完】
𝕡𝕣𝕠𝕝𝕠𝕘𝕦𝕖

「…先生。私、どうすれば大人になれますか?」

その言葉に、彼は一瞬だけ、苦しそうな顔をした。
教室の隅。放課後の沈黙の中で、私の声だけが響いた。
恋じゃない。だけど、恋よりも重たくて、深い感情。
触れたいのに、触れられない。欲しいのに、手に入らない。

私が欲しかったのは、“先生”という肩書きを脱いだあなた。
でも──
「そんな顔、するなよ。……俺は教師だ」

それが、彼の答えだった。
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