いつも君のとなりで
「隣、いいですか?」
糸師くんがそう言うので、わたしは「あ、どうぞ。」と返事をした。
糸師くんはわたしの隣の椅子に座ると、カウンターの向こう側に居る店主に生ビールを注文していた。
「松雪主任が、こんなこじんまりとした居酒屋に一人で居るなんて思いませんでした。よく来るんですか?」
「ううん、初めて来た。わたし全然お酒飲めないから。」
そう言って、わたしはダサい自分に笑うと、糸師くんは「レモンハイ、全然減ってないですし、本当にお酒弱いんですね。」と言った。
「それなのに、お酒を飲んでるってことは、何かあったんですか?」
「うん、、、まぁね。」
「俺で良ければ、話し聞きますよ?」
糸師くんの意外な言葉に「えっ?」と驚くわたし。
糸師くんって、いつも一人で居て、誰とも仲良くしようとしないから、人と話すのが嫌いなんだと勝手に思ってたけど、話し聞いてくれるの?
「あ、嫌だったら、無理にとは言いませんけど。」
「あー、違うの!糸師くんって、クールで誰とも話さないイメージがあったから、、、ちょっとビックリしちゃって。」
わたしがそう言うと、糸師くんは「あぁ、、、まぁ、いつも一人で居ますからね。」と言い、眼鏡を外し、眼鏡を拭き始めた。
あれ、、、糸師くんが眼鏡外したところ初めて見たけど、意外とイケメン。
なんて、わたし何考えてるんだ。
「じゃあ、、、聞いてくれる?」
わたしがそう訊くと、糸師くんは眼鏡をかけ直し「はい、いいですよ。」と答えてくれた。