いつも君のとなりで

「はぁ、、、」

わたしはその日、仕事帰りに一人でこじんまりとした居酒屋に立ち寄り、ひとり酒をしていた。

そんなにお酒なんて飲めないくせに、レモンハイを飲んでは溜め息をつく。

あぁ、、、何でわたしはお酒が苦手なんだ。

もっと飲めたら、嫌なことがあってもお酒で紛らわせられるのに、、、
こんなレモンハイじゃなくて、ビールとか焼酎とか飲めたらいいのに、、、

やっぱり、わたしに恋愛をする権利はないのかな。

誰かを好きになったところで、"気持ち悪い"と言われてしまうなら、最初から恋なんてしなければいいんだよね。

あーあ、愚痴れる人が居ればいいのに。

しかし生憎、そんな人はわたしには居ない。

「何やってんだろ、わたし、、、」

カウンター席の端に座り、寝そべりかけながらそう呟く。

すると、「あれ?松雪主任、ですよね?」という声が聞こえてきた。

え?と思い、ふと顔を上げると、そこには眼鏡をかけたスーツ姿のわたしよりも年下であろう男性が立っていた。

あれ?見たことあるような気がするけど、、、誰だっけ?

「あ、糸師です。営業一課の糸師陽向です。」

彼がそう言い、わたしは「あぁ!糸師くん!」とやっと思い出した。

確かまだ若いのに成績トップで営業部のエースなんだっけ。

でも、糸師くんって眼鏡かけてていつもクールで、"話し掛けるな"オーラ全開のイメージがあったけど、、、話し掛けてくれるんだ。

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