First Light.
「いいなぁ、俺旅行とか行ったことないから憧れる」
「学生の頃は行かなかったんですか?」
「ダルくてサボった」
「え」
「っていうのは嘘で、単純に行きたくなかったんだよ」
昔を思い出すように左上に視線を向けて話す理人さんに胸がキュッと締め付けられる。
「小学生ん時も中学ん時も金無かったし。まぁ施設の人が出すとは言われたけど、仲良い奴なんかいなかったし金の無駄になるとか言って断った」
「そう、なんですか」
「高校ん時はあれだな、面倒くさくてサボった」
依織くんからめちゃくちゃ怒られたけど、と笑っている。
「依織くん、て確かこの前の…」
「そう。昔からなんでか俺に良くしてくれて、俺にとっては親代わりなんだよ」
だからあんな風に仲が良かったのか、と1人で納得していると理人さんがフッと笑った事に気付いた。
「やっぱり知ってたんだな、俺が捨て子だってこと」
「あ、…」
「いーよ、別に隠してないし。どうせ奏汰がペラペラ喋ったんだろ」
「すみません、ずっと黙ってて」
「すみませんは俺のセリフ。ごめんな、ずっと気を使わせて」