First Light.


「じゃあお願いします」


運転席には男の人じゃなく、女の人が乗っていた。
たまたまなのか、理人さんがそうしてくれたのかは分からない。


「あ、理人さん!」


窓から顔を出し、タクシーから離れた理人さんの名前を呼ぶと「なんだよ」と嫌そうな顔をされた。


「また来ますね!」

「学べよ、もう来んな」

「じゃあ次は明るい時に!」

「はぁ?」


カフェ&バーと書かれていたし、お昼はカフェをやってるんだろう。
それなら私が行ってもきっと怒られない。
怒られる理由ないし。


何か言いかけた理人さんの言葉はどうせ文句なので聞こえないように速攻で窓を閉めた。

運転手さんに住所を言うとすぐに出発した。

お店から出る前に奏汰さんから貰ったお金は2万円で、明らかに高すぎる。
やっぱり今度返さないとなぁと思いながら窓の外を眺める。

クーラーがよく効いた車内はむしろ寒く、ポケットに手を入れるとカサっと何かが手に触れた。


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