勇気の歌(Summerloveの前の話)

もっと俺達がでむいていたら、勇気は助けられていたのだろうけれど……、足元がすくんでできなかった。



勿論金持ちの暴力団が、暴れ狂うかもしれないと考えたら悍ましいのはこの上ないのだが、居場所を失ってしまうんじゃないかって直ぐ様思ってしまった。



この三人が、勇気を助けてしまってーーー離れ離れになってしまう運命を感じてしまった。



そう心から思い返してしまった事から、俺は二人に甘えているのだとかいう不覚さを味わい、敗北を思い知ったから。




「ワイら………卑怯者やな。正直、俺も勇気のこと許せんワイもおるんや。せやから、助けられんかった……。言い訳がましいがな」



「嫁さんとの関係にとやかく口出しする勇気がよくない気もするんだが」




「正解ってなんやろな。この世界においての」




紙を破り捨てる、ゴミ箱に投げ入れた早羽。




何だか見ていられなかった。



ここまで教師を追い詰めている勇気や、雪をーーーなぜ俺たち教師は助けなければならない?



ましては、守らなければならないんだ?



人をいじめて、優越感に立つ雪。



対して、劣等感に支配されて周りの人間を故意に傷つけてしまう勇気。



どちらの生徒も、扱い難い。


回文をゴミ箱に全て破り、捨てた。






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