平安物語【完】



「落ち着きましたか?」

私を抱いたまま、尚仁様が優しく仰います。


「はい…もう、大丈夫でございます。」

そう言いながら尚仁様の胸を押して離れようとすると、今度はくるりと体を反転させられて尚仁様の脇に収まりました。

驚いて尚仁様を見上げると、そっと優しく口づけなさるのです。

顔を離していたずらっ子のようにお笑いになる御顔は、ああ、出会った頃と何ら変わらない愛おしいお方…



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