平安物語【完】
例にないことだと不思議に思っていると、
「姫、もう少し端近へ。」
と父上に呼ばれたので、簾の近くの几帳の陰へ移りました。
そこから外を見ると、簀に父上が座っていて、庭に立っている若い方と笑いながら話していました。
「さ、そんな庭先はあなたの身分に相応しくありません。
こちらに上がって、姫に御文を渡してください。」
そう父上に促されて、二人は庇(ひさし)の間に上がっていらっしゃいました。