平安物語【完】
尚仁様が帝におなりあそばしたという現実感に、手が震える程の緊張を覚えました。
御寝所の前に立ち、一歩踏み入れました。
どんな顔をしたら良いのか分からず、自然と扇で顔を隠してしまいます。
すると
「女御」
という優しい声が聞こえて、少し扇を下げて見ると、優しい優しい笑顔で私を見つめる尚仁様がいらっしゃいます。
私は、安心したのか何なのか、感極まって涙を流してその場に立ちすくしてしまいました。