平安物語【完】
一瞬の沈黙のあと、一度強く抱き締めてから体が離れました。
顔を見られまいと、さっと俯いて袖で隠します。
まるで現実の事とも思えず、頭がくらくらしてきました。
「どうして、そこまでお厭いになるのです…
長年恋い慕って参りました気持ちをご存知のはずなのに、なんと冷たいお仕打ちでしょう。」
「私がお慕いするのは、帝ただお一人です。」
――想われたからって、叶うわけじゃないわ。
そんなことも分からないの…
右大将殿の言い分に苛立った私は、冷たく言い放ちました。