平安物語【完】



「ずっと、お会いしとうございました…

ずっと、ずっとですわ。

私をおいて逝ってしまわれるのですもの。

本当に、寂しかった…」


「私だって、再びあなたをこうして抱き締められる日を心待ちにしていました…

いつもいつも見守っていたのに、あなたときたらまるでお気づきにならなくて。

でも、私が去った後のあなたの行いは素晴らしいものでした。

今すぐにでも抱き締めて誉めて差し上げたいと思いながら、見ているだけなのは辛かったですよ。」


とめどなく涙が溢れるままに、尚仁さまを見上げて気付きました。

ハッとして顔を袖で覆います。


「尚仁さま、どうしてそんなにお若くていらっしゃるのですか…?」

そう、尚仁さまはお亡くなりになったときにはもう四十五歳いらっしゃったはずなのに、今目の前の尚仁さまは二十代後半のようなのです。


「私、もうお婆さんで…」

ひどく恥ずかしく寂しい気持ちになって一歩離れると、尚仁さまが可笑しそうにお笑いになりました。



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